アカシヤ保育園アカシヤ保育園

お知らせ

絵本2023.09.19

同じ絵本を何度も読んでと持ってくるのは、なぜ?

さて今回は『社会で楽しく生きていけるようになるためには』についてお伝えする予定でしたが、保護者の方からご質問や疑問をいただきましたので、ここから数回にわたり、先にこちらにお答えしていこうと思います。
 
お悩み:「同じ絵本をエンドレスに何回も読まされる・・正直、苦痛!」
 
いつもお気に入りの絵本を「読んで」と持ってくるけど、「またそれ?!」となる。
一度読むと「もう一回読んで!」と何度も同じものを読まされる・・・読んでいるこちらが飽きてくる・・・
 
わかります!!!大人の私たちにしてみれば、「おんなじのばっかり、なにが面白いんや…」とうんざりしてきますよね。
 
なぜ、子どもたちは、同じ絵本を何度も何度も読んでもらいたがるのでしょう?話の筋も結末ももう十分、知ってるはずなのに!!
 
実は、これは、「お話の内容と結末を知っているから」こそ(●●)、なんです。
「知っていること」を、読んでもらって、耳で聞き、目で見て、何度も何度も自分の中で確認して、「自分は知っている」「合っている」と毎回毎回、「心を満たして、満足できるから」なんです。
 
そしてもちろん、脳の中では、自分の持っている情報と、読んでもらっている内容が合っているか、ずれているか、色々な確認作業がフル回転で起きています。
 
そして、なにより、大好きな絵本の中の世界を、大好きな人の声で読んでもらうことにより、没頭して楽しんで、ものすごく心が満たされて、心地よいからなのです。
 
この「満たされる」ことにより、心と身体と脳内が、とても安定します。(これがいわゆる自己肯定感につながります。)
私たち大人が、好きな音楽や、歌手の歌を繰り返し聞くのと、同じです。「これこれ!これがいいねん!」と思うのと同じです。
 
また、たとえば、本屋や図書館に行って、「これがいい!」と子どもが持ってきた絵本が、「これ、家にあるやん!!おんなじ絵本、持ってるやん!!」ということないですか?
 
子どもたちにとって、膨大な数の見知らぬ絵本が並ぶ中で、自分の「知っている」絵本があると、「自分が知っているものがある喜び」を感じると同時に、とても安心するのです。
 
●海外旅行に行って、日本食レストランを見つけて、なぜだかすごくうれしかった。
●全然知らない人ばかりの集まりに参加して、一人だけ顔見知りの人がいて、特に親しい人ではなかったけど話しかけた。
●クラシックを聴いていて、知らない曲ばかりだったが、1曲だけ、CMで流れていた曲があって、「これ知ってる!」とうれしかった。
 
・・・こんな経験ありませんか?
私たち人間は、「知っている」ことを見つけて、安心する、という性質があります。逆に「知らないこと」は不安になる。
 
ですから、子どもたちは同じ絵本を何度も読んでもらうことによって、「満足感」と「安心感」「心地よさ」を何度も味わっているのです。
そしてその時、脳内では、アドレナリンやオキシトシンなどの成長ホルモン、愛情ホルモンが大量に分泌されると同時に、「情報の確認」や「ことばの獲得」などが、めまぐるしく行われているのです。
 
ですから、「読んでほしい」と言われて、同じ絵本を何度も読むことは、お子さんの心を満たしてあげる、一番効果的で最も愛情が伝わる方法なのです。
 
目には見えませんが、1回読むごとにお子さんの「心と脳はものすごく満たされて」います。その小さな積み重ねがお子さんの人格と脳を作り上げていっています。ですので、お子さんの「読んで!」には、できるだけ応えてあげてください。(あくまで、時間とエネルギーが許す範囲内で)
 
そして、目の前のお子さんの様子をじっくり観察してみてください。
絵本に限らず、「お気に入り」がある、ということは、心の安定、自信の源を持っている、という素晴らしいことです。
 
…とはいえ、エンドレスは、疲れるし、時間にも限りがある。そんな場合は、「じゃあ次が最後の1回ね。最後の1回は“特別に”ゆっくりバージョン、楽しいバージョン、早口バージョンから選べます!」など、いつもとちょっと違う読み方を子どもに選んでもらって、終わったら「はい!おーしーまい!!」「じゃあ〇〇しようか!」と、次の行動に意識を切り替えてしまってみてください。
 
もちろん、うまく終われる場合と、そうでない場合があると思いますが、色々と試してみるのがよいと思います。(最後の1回だけ、終わったらギュッとハグする、とか…)
 
いかがでしたか?「絵本を読む」という行為は、ただ単に「子どもがまだ自分で読めないから、代わりに読んであげる」ということではありません。
同じ時間、同じ世界を、共有すること、子どもたちの心と脳を満たすことができる、とても簡単で、だれにでもできる愛情表現です。ぜひ、絵本を子育ての味方にしてください!!
 
次回も、皆様の疑問やお悩みにお答えしていきます!!
 

一覧へ戻る